【業務中の飲食費|経費になる場合・ならない場合】

業務中の飲食費でも、すべてが経費になるわけではありません。一人での昼食や営業中の食事は、原則として生活費にあたるため経費にならないケースが多い一方、取引先との会食や打ち合わせを兼ねた飲食など、業務との関連性が認められる場合は経費として計上できることがあります。ここでは、業務中の飲食費が「経費になる場合」と「ならない場合」の判断のポイントを分かりやすくご紹介します。
営業中に一人で飲食の場合

通常、営業中であっても一人での飲食は生活費として扱われるため、原則として経費にはなりません。ただし、業務との関連性や必要性を客観的に説明できる場合には、経費として認められる可能性があります。
判断のポイント
勘定科目

営業中にパソコンや携帯の電源が少なくなり、電源の確保ができる飲食店を利用しました。また、Wi-Fiの利用を目的としても、飲食店を利用しました。その際の飲食費は経費になりますか?

ただ単に、営業中にパソコンや携帯電話の充電やWi-Fiの利用を目的として飲食店を利用しただけでは、その飲食代が直ちに必要経費として認められるわけではありません。
飲食店は本来、飲食の提供を目的とする施設であり、飲食代には私的な生活費としての性質もあるため、業務との関連性を説明できない場合には、必要経費として認められない可能性があります。
一方で、外出先で業務を継続するために充電や、通信環境の確保が業務上必要であり、そのために飲食店を利用したことを客観的に説明できる事情がある場合には、必要経費として認められる可能性があります。
税務調査では、「営業中だった」という理由だけではなく、なぜその飲食店を利用する必要があったのか(業務上、必要な事情)を説明できることが重要です。利用目的や業務内容が分かるメモを残しておくと、合理的な説明がしやすくなるでしょう。

外出先で、静かに作業ができる場所が無かったため、飲食店を利用しました。その際の飲食費は経費になりますか?

飲食店を一時的な業務場所として利用することに合理的な理由があり、その必要性を客観的に説明できる場合には、経費として認められる余地があります。
一方で、「単に静かな場所で作業をしたかった」という理由だけでは、必要経費として認められるとは限りません。
税務上は、その飲食店を利用する必要性や事業との関連性などを総合的に判断します。
取引先との飲食の場合

通常、取引先との飲食は、一人での飲食とは異なり、商談や打ち合わせなど事業との関連性が認められることが多いため、経費として認められる可能性があります。ただし、業務との関連性や目的を客観的に説明できることが前提となります。
判断のポイント
税理士コメント
取引先との飲食は、「打ち合わせ・商談を目的とした飲食」と、「接待・関係構築を目的とした飲食」の大きく2つに分けて考えることができます。
打ち合わせや商談を目的とした飲食は、契約交渉や業務の打ち合わせ、業務上の情報交換など、事業を進めるために必要な飲食です。
一方、接待や関係構築を目的とした飲食は、取引先との信頼関係の構築や維持、今後の取引を円滑に進めることを目的とした飲食です。このような飲食も、事業との関連性が認められれば、経費となる可能性があります。
ただし、取引先との飲食であっても、業務とは関係のない私的な会食である場合は、経費として認められないことがあります。税務調査では、参加者や日時だけでなく、飲食の目的や内容について説明できることが重要となるため、領収書とあわせて会食の相手や目的を記録しておくとよいでしょう。
勘定科目
(飲食店を利用)
(社内で弁当を食べながら)
取引先と社内で打ち合わせ・商談を行う際に、一般的な昼食として提供される程度の弁当を用意した場合、その弁当代は「会議に関連して、通常要する費用」として、会議費にできる場合があります。
国税庁の通達では、会議に際して通常供与される昼食の程度を超えない弁当などの飲食物について、「会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用」に該当するものとしています。
価格について国税庁が具体的な上限額を定めているわけではありませんが、一般的な昼食として社会通念上妥当な価格帯であることが一つの目安となります。高級弁当や通常の昼食の範囲を大きく超える飲食については、「通常供与される昼食の程度」を超えるものとして、会議費として認められない可能性があります。
(交際費等の一部)
(接待飲食費以外)
- 年間800万円までを経費にする
- 接待飲食費の50%を経費にする
※1 「中小法人」は分かりやすくするための表現です。正確には、期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下である等の法人を指します。なお、資本金5億円以上の法人の100%子会社など、一部対象外となる法人があります。
従業員との飲食の場合

通常、従業員との飲食は、業務上必要な打ち合わせや慰労(懇親会・忘年会など)を目的としたもので、事業との関連性が認められる場合には、経費として処理できます。
判断のポイント
税理士コメント
従業員との飲食は経費にできるケースが多いものの、すべてを同じ勘定科目で処理できるわけではありません。
飲食の目的や参加者、実施方法によって、福利厚生費・会議費・給与など税務上の取扱いが変わるため、実態に応じて適切に判断することが重要です。
勘定科目

従業員に毎日の昼食代(お弁当代)を支給する場合は、経費処理はどうなりますか?

支給方法や負担額によって、使用する勘定科目や課税関係が異なります。
会社がお弁当や食事を手配して従業員へ提供する場合(現物支給)、①従業員が食事の価額の50%以上を負担していること、②会社の負担額が月7,500円以下であること、の両方を満たせば福利厚生費として処理でき、従業員側も給与として課税されません。この非課税限度額は令和8年度税制改正により月3,500円から7,500円に引き上げられ、令和8年4月1日以後に支給する食事から適用されています。要件を満たさない場合は、食事の価額から従業員負担額を差し引いた残額が給与として課税されます。
注意したいのは、この非課税扱いが認められるのは、あくまで会社が食事の提供者(弁当業者や飲食店、社食サービスなど)に直接代金を支払う「現物支給」の場合に限られる点です。従業員が自分でコンビニや飲食店で立て替え払いをし、レシートを会社に提出して、会社が半額相当を後から現金で払い戻す方式は、金額の割合や上限を守っていても非課税にはなりません。これは食事の現物支給ではなく金銭の支給とみなされるためです(国税庁の質疑応答事例「使用者が使用人等に対し食事代として金銭を支給した場合」)。非課税での運用を考える場合は、仕出し弁当業者との契約、置き型社食サービス、契約食堂やミールクーポンなど、会社が業者へ直接支払う仕組みを利用する必要があります。
従業員が立て替えた昼食代を会社が現金で補助する場合は、原則として補助額の全額が給与として課税されます(国税庁「No.2594 食事を支給したとき」)。なお、深夜勤務者に夜食の現物支給ができないために現金で夜食代を支給する場合に限り、1食650円以下(税抜)であれば非課税となる特例があります(同改正で1食300円から650円に引き上げ)。
「毎日のお弁当代なので会議費として処理できないか」と思われるかもしれませんが、会議費は実際に会議や打ち合わせが行われている場合に限られます。全従業員へのルーティンの弁当代支給は、実際の会議と紐づいていない限り会議費には該当せず、その名目で処理すると税務調査で否認されるリスクがあります。打ち合わせの場で提供される弁当・軽食であれば会議費として処理できますが、それは「日常的な弁当代支給制度」とは別のものとして区別する必要があります。
このように、従業員への毎日の昼食代(お弁当代)は、現物支給の仕組みになっているか、また負担割合や金額によって取扱いが異なります。支給方法を検討する際は、非課税の要件を満たす仕組みになっているか、あわせて確認することが重要です。

会社がお弁当を従業員に提供する場合は、従業員が食事の価額の50%以上を負担するなどの要件がありますが、会社がコーヒーサーバーやウォーターサーバーを設置し、コーヒーや水などを従業員に無料で提供する場合も、同様に従業員が一定割合を負担しなければ給与として課税されるのでしょうか?

コーヒーやウェーターサーバーは、50%負担ルールの適用はありません。お菓子も、50%負担の適用はありません。食事だけ、生活費として本来は自分のお財布から出すべきものとして、経済的利益として扱われてしまいます。

従業員へ差し入れを行う場合、経費処理はどうなりますか?

従業員への差し入れは、従業員全体を対象として公平に提供されるものであれば、福利厚生費として処理するのが一般的です。
一方、特定の従業員だけに継続的または高額な利益を与える場合は、給与として処理することが一般的です。

税理士コメント
一人での昼食や夕食などの飲食費は、たとえ業務中や営業先への移動中であっても、通常は日常生活に必要な食事(生活費)に該当するため、原則として経費にはなりません。
一方で、飲食店を一時的な業務場所として利用するなど、その飲食が事業との関連性を有し、必要性を客観的に説明できる特別な事情がある場合には、経費として認められる可能性があります。
そのため、「仕事中だった」「営業の合間だった」という理由だけでは経費として認められるとは限りません。飲食が事業とどのように関係しているのかを説明できるかどうかが判断のポイントになります。
領収書だけでなく、業務との関連性や必要性を説明できるように、利用目的や業務内容なども記録しておくとよいでしょう。